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油壺 (道具) : ウィキペディア日本語版
油彩[ゆさい]

油彩(ゆさい)には、以下の2つの意味がある。
* 油絵具を用いる制作の手法。下層にはしばしば水性の地塗り塗料(絵具)も使用される。
* 油彩画・油画・油絵のこと。
== 油彩画の構造 ==
油彩画は絵画の内でもすぐれて明確な積層構造をとる媒体である。塗膜〔塗膜は、塗布によって形成される皮膜である。〕の接着を良くする意味で、"Fat over lean"という慣(ならい)に従い、上層が下層より油分が多くなるようにする。油絵具による塗膜にそのまま水性絵具を重ねると剥落などの問題を起こすので避けられる〔ただし、油絵具の上に塗り重ねることが可能な水性塗料・水性絵具も存在する。〕。経年によって、鉛白などは乾性油と反応し金属石鹸を生じ〔「別冊 美術手帳 夏 油絵のマテリアル」 1983 美術出版社〕、透明度が高まるので、凡そ100年以上経過すると描き直しや躊躇いが見えるようになる。これをペンティメント〔『カラー版 絵画表現のしくみ―技法と画材の小百科』森田 恒之監修 森田 恒之ほか執筆 美術出版社 2000.3 ISBN 4568300533〕と呼ぶ。パウル・クレーの『ドゥルカマラ島』のように、経年による絵具層の変化が利用された作品も知られている。油彩の基本的な構造は以下の通りである。
;支持体
:支持体は絵画の塗膜を支える面を構成する物質である。下地や描画層を物理的に保持する部分。多くの場合、キャンバス(帆布)や、木製のパネル(羽目板)や単独の板に麻布や綿布が用いられる。
;絶縁層
:油絵具は乾性油の酸化重合によって固化する絵具であるため、布地などに直接描画すると布を酸化してしまう。それを防ぐために支持体と絵具層の間に、絶縁する層が必要となる。布を用いる場合、伝統的には麻布に膠水を引くことで絶縁する。これは前膠(まえにかわ)と呼ばれる。代表的な膠は、兎膠と牛膠である。前者は柔軟性が高く、後者は接着力が強い。特に後者は工業的にも用いられており、純度の高いものはゼラチンとして流通している。絶縁にはPVA酢酸ビニルなども用いられている。
;地塗り層(下地)
:絵具は下層の影響を受けるため、絶縁層と描画層との間にしばしば、地塗りをして絵具の発色を良くし描画特性を高める層を設ける。地塗り層は、上層であるの絵具層からある程度の油分を吸収することで絵具の固着を良くする役割も果たすことから、地塗りは技法の中でも重要な役割を果たす。キャンバスには予め地塗りを施してあるものが市販されているほか、木枠に張られた商品もある。これは便利であるが、本人の要求を満たす適性を備えているとは限らない。購買層の多くは初学者や絵画教室の生徒である。
;描画層
:地塗り以外の絵具の層のことを描画層と呼称する。
;保護層
:絵具層の上に保護の目的で施される層。油絵具に用いられる顔料の中には、硫化水素などの物質によって化学反応を起こし変色するものがある。またホコリや煙草のヤニによっても絵画は汚れる。これを防ぐ目的で描画が終了して一年程経過した後(のち)に、保護バーニッシュを塗布する。例えば、展覧会直前まで制作した絵画をその展覧会で販売し、購入者がバーニッシュの塗布を専門家に依頼する等しなかった場合、その絵画には保護バーニッシュが塗布されていない状態が続き、絵画が汚れる危険に晒され続けることになる。このバーニッシュには、後に再度溶解による除去が可能で、バーニッシュの塗り直しを許容するものを用いる。バーニッシュは剥離や剥落を抑える効果を生じる場合もある。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「油彩」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Oil painting 」があります。



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